ここ最近、書店に行くと目立つ所に置いてある「繊細さん」の扱い方についての本が多くなってきましたね。
本屋さんでちらっと見て、繊細さんってなによ?と思っている方も多いと思います。今回はその解説をわかりやすくまとめます。
繊細さんとして最近注目されているのは「HSP(Highly Sensitive Person)」と呼ばれる気質です。アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した人間が生まれつきに持っている気質とされていて、病気ではありません。
刺激にとても敏感で、繊細な気質を持っている人のことで、約5人に1人の割合でこのHSPであるといわれています。自分の周りにはHSPの方がだいたいいると考えてもいいくらいの高い割合ですね。
HSPは「DOES」と呼ばれる四つの特徴があります。
①Depth of processing 物事を深堀しやすい
物事を深く分析したり、発想が独特であったりする特徴です。物事に取り組む際にこだわり過ぎて支障が出てしまったり、心配し過ぎてしまったりすることもあります。
②Overstimulation 刺激を過剰に受けやすい
刺激を受ける環境下では神経が高ぶってしまいます。多くの視線を感じる人前に立つことや人混みの中にいるととても疲れます。何かを始めて体験するときにも疲れやすいです。
③Emotional reactivity and Empathy 共感しやすい
他人の感情(喜びや怒りなど)を自分のことのように感じやすい特徴です。笑顔の人を見ると自分も幸せな気分になったり、機嫌が悪い人の近くにいると緊張してしまったりなどです。他人の気持ちを優先させようとする特徴もあり、自分の感情を押し殺してしまい心が不安定になることもあるようです。共感して相互理解を深めることもあります。
④Sensing the subtle 小さな刺激や変化に敏感
光やにおい、音などの感覚刺激に敏感な特徴です。これら刺激の小さな変化に気が付いたりしやすいです。しかし騒音の中では集中ができなくなってしまうなどデメリットもあります。他人の微妙な表情の違いにも気づくことができます。人の気持ちを敏感に察知して助けることができたりもできます。
これら四つの特徴は長所にも短所にもなりますね。HSPの特徴を理解することができればその人の武器にできますし、デメリットから来る不利益も回避できるでしょう。
HSPセルフテスト
①周囲の些細なことによく気が付くと思う
②他人の機嫌に影響される
③痛みにとても敏感だ
④忙しい日はベッドや暗い部屋、もしくはプライバシーを確保できて刺激から解放される場所に引きこもりたくなる
⑤カフェインに対して敏感だ
⑥眩しい光、強いにおい、粗い生地、近くから聞こえるサイレンなどにすぐに反応する
⑦豊かで複雑な内面世界をもっている
⑧大きな音が苦手である
⑨芸術や音楽に心を大きく揺さぶられる
⑩良心的である
⑪すぐにおどろく
⑫短時間でやることがたくさんあると混乱する
⑬誰かが居心地の悪さを感じていると、その理由を察し(明かりを調整したり、席を変えたりして)心地よくしてあげようと思うことが多い
⑭一度にたくさんのことをやるようにいわれると困ってしまう
⑮失敗や忘れ物をしないよう、とても気を付けている
⑯普段から暴力的な映画やテレビ場番組は見ないようにしている
⑰周囲でいろいろなことが起こると動揺してしまう
⑱極度の空腹によって強い反応が引き起こされ、集中力や気分がそれる
⑲環境の変化に動揺する
⑳繊細な、あるいは良質なにおい、味、音、芸術作品を堪能する
㉑動揺や混乱を引き起こすような状況を極力避けて生活している
㉒仕事で誰かと競ったり、評価されたりすると、普段より緊張してしまう
㉓子供の頃、親や教師から繊細、あるいは内気だとおもわれていた
この質問23個はアーロン博士が考案したHSPのセルフテストです。明確な基準はありませんが、おおよそ12個以上の質問にyesが付くとHSPの可能性が高いといわれています。ちなみに筆者は18個のyesでした。
筆者自身もそうですが、自分のHSPという特性を理解してうまく付き合っていくことができるかどうかでその人の人生の質は大きく変わっていきます。また周囲の人たちの中にもHSPの人はいると思いますので、その特性に理解を示してあげましょう。
出典:『敏感すぎる私の活かし方 高感度から才能を引き出す発想術』 エレイン・N・アーロン著,片桐恵理子訳,パンローリング株式会社,2020年
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